ステッピングモータは、入力された電気信号に応じて一定の角度だけ回転するモータであり、精密な位置決め制御が可能なアクチュエータとして広く利用されている。中でもPM型ステッピングモータ(Permanent Magnet Type)は、永久磁石を用いた構造を特徴とし、小型で低価格かつ制御が容易なことから、さまざまな機器に組み込まれている。本稿では、PM型ステッピングモータの基本原理とその応用について解説する。
1. PM型ステッピングモータの基本構造と動作原理
PM型ステッピングモータは、ロータに永久磁石を使用し、ステータには複数の電磁コイルを配置した構造を持つ。ロータはN極およびS極が交互に配置された円筒形で、ステータのコイルに順次電流を流すことで、磁気的吸引力によりロータがステップ運動を行う。
動作は次のように行われる。まず、あるステータコイルに電流を流すと、その磁界によってロータの特定の磁極が吸引される。次に、隣接するコイルに電流を切り替えることで、ロータは次の位置に吸引されて回転する。この一連の動作を繰り返すことで、ロータは一定の角度(ステップ角)ずつ回転する。

「写真の由来:Φ35x22mm PM型リニアステッピングモータ エクスターナル 0.2A ねじリード0.5mm/0.0197" 長さ21.5mm」
「写真の由来:Φ35x22mm PM型リニアステッピングモータ エクスターナル 0.2A ねじリード0.5mm/0.0197" 長さ21.5mm」
PM型は、可変リラクタンス型ステッピングモータに比べてトルクが大きく、特に低速域での性能に優れる。また、構造が比較的単純であり、製造コストが低い点も特徴である。
2. 応用例
PM型ステッピングモータは、次のような分野で幅広く利用されている。
(1) OA機器
プリンタやスキャナなどでは、紙送りやヘッド移動機構に用いられており、正確な位置制御と静音性が求められる。
(2) 医療機器
注射ポンプや分析装置などにおいて、微量な液体の精密な制御が必要な場面で使用されている。
(3) 家電製品
エアコンの風向調整、カメラのフォーカス制御、DVDプレイヤーのディスク搬送機構などに応用されている。
(4) 自動販売機・ATM
硬貨や紙幣の搬送機構に使われており、高信頼性と耐久性が求められる用途である。
(5) 教育・ロボティクス
簡単な制御が可能であるため、教育用教材や小型ロボットの駆動部にも利用されている。
3. おわりに
PM型ステッピングモータは、その構造の単純さ、コストパフォーマンス、そして高精度な位置決め能力により、電子機器や産業機器の多くの場面で活用されている。今後も、IoT機器やロボティクスの発展に伴い、PM型モータの応用範囲はさらに広がることが期待される。
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