クローズドループステッピングモータは、従来のステッピングモータの制御性に加え、位置検出機能を組み合わせることで、より安定した運転と高い信頼性を実現したモータ方式です。一般的なステッピングモータは、指令したパルス数に応じて回転するオープンループ制御が主流ですが、負荷変動や急加速時には脱調が発生することがあります。これに対して、クローズドループ方式ではエンコーダなどのフィードバック機構により実際の回転位置を監視し、必要に応じて補正を行います。本稿では、クローズドループステッピングモータの基本的な仕組みと、オープンループ方式との違いを分かりやすく解説します。
1.クローズドループステッピングモータの基本概念
クローズドループステッピングモータとは、ステッピングモータに位置検出用のエンコーダなどを組み合わせ、実際の回転状態を監視しながら制御する方式のことです。従来のステッピングモータは、入力パルスに応じて一定角度ずつ回転する仕組みを持っていますが、クローズドループ方式では、その指令どおりに実際に動いているかを常時確認します。
この構造により、負荷が変動しても位置ずれを補正しやすくなり、脱調のリスクを大きく低減できます。つまり、ステッピングモータの扱いやすさを保ちながら、サーボモータに近い安定性を一部取り入れた方式といえます。

「写真の由来:Nema 11 ギヤードクローズドループステッピングモーター L=51mm ギヤ比 5:1 エンコーダ 300CPR」
「写真の由来:Nema 11 ギヤードクローズドループステッピングモーター L=51mm ギヤ比 5:1 エンコーダ 300CPR」
2.オープンループ制御の仕組み
オープンループ制御では、ドライバがモータへ一定数のパルス信号を送り、そのパルス数に応じて回転すると仮定して動作させます。たとえば、1パルスごとに決められた角度だけ回転する前提で制御するため、理論上は簡単に位置決めができます。
しかし、この方式では実際にその位置まで到達したかどうかを確認していません。そのため、負荷が急に大きくなった場合や、加減速条件が厳しい場合には、モータが指令に追従できず脱調し、位置ずれが生じても制御側が気づかないことがあります。
3.クローズドループ制御の仕組み
クローズドループ制御では、モータの後端などに取り付けられたエンコーダが回転位置や速度を検出し、その情報をドライバへ返します。ドライバは指令値と実際の位置を比較し、差があれば電流や駆動状態を調整して補正を行います。
このように、実際の動きを確認しながら制御するため、負荷変動や一時的な遅れがあっても追従性を高めることができます。つまり、単に「動くはず」と考えて制御するのではなく、「実際にどう動いたか」を見ながら制御する点が、オープンループ方式との大きな違いです。
4.最大の違いは脱調検出の有無
クローズドループとオープンループの最も大きな違いは、脱調を検出して対応できるかどうかにあります。オープンループでは、モータが途中で遅れたり停止したりしても、制御側は指令を出し続けるだけで異常を認識できません。
一方、クローズドループでは、指令位置と実際の位置との差を監視しているため、異常を把握しやすく、補正やアラーム出力が可能です。この違いは、装置の信頼性に大きく関わります。特に高精度な位置決めが求められる装置では、重要な要素となります。
5.発熱や消費電力の面での違い
オープンループのステッピングモータは、脱調を防ぐために必要以上に大きな電流を流して駆動することが多く、その結果として発熱が大きくなる傾向があります。常に余裕を持たせた設定にするため、効率面では不利な場合があります。
これに対し、クローズドループ方式では、実際の負荷状況に応じて必要なだけの駆動を行いやすいため、無駄な電流を抑えられる場合があります。その結果、発熱低減や省エネルギーにつながりやすく、装置全体の温度管理にも有利となります。
6.高速運転時の安定性の違い
ステッピングモータは一般に、回転速度が上がるにつれてトルクが低下しやすい特性を持っています。そのため、オープンループ方式では高速域で脱調しやすくなり、安定運転が難しくなることがあります。
クローズドループ方式では、実際の回転状態を確認しながら制御できるため、高速運転時の安定性が向上しやすいです。もちろん限界はありますが、同じ条件で比較すると、より広い速度範囲で安定した動作を期待できるのが特徴です。
7.装置コストと構成の違い
オープンループ方式は、構成が比較的単純であり、モータとドライバの組み合わせもシンプルです。そのため、導入コストを抑えやすく、小型装置や比較的簡易な位置決め用途で広く使われています。
一方、クローズドループ方式では、エンコーダや対応ドライバが必要になるため、一般にコストは高くなります。また、システム構成もやや複雑になります。しかし、その分、信頼性や性能面でのメリットがあり、単純な価格比較だけでは判断できません。
8.適した用途の違い
オープンループステッピングモータは、負荷変動が小さく、多少の位置誤差が大きな問題にならない装置に適しています。たとえば、比較的軽負荷で単純動作を繰り返す機器では、コストパフォーマンスの高い選択肢となります。
一方、クローズドループステッピングモータは、脱調を避けたい装置や、安定した位置決めが必要な用途に向いています。たとえば、自動化設備、搬送装置、検査機器、半導体関連装置などでは、その利点を活かしやすいです。用途に応じて適切に使い分けることが重要です。
9.サーボモータとの関係
クローズドループステッピングモータは、しばしばサーボモータと比較されます。確かに、フィードバック制御を行う点では似ていますが、基本となるモータの構造や制御思想には違いがあります。
ステッピングモータはもともとパルスに応じて一定角度ずつ動く特徴を持っており、制御しやすい反面、高速高出力用途には限界があります。一方、サーボモータは高応答・高出力に優れています。そのため、クローズドループステッピングモータは、オープンループステッピングモータとサーボモータの中間的な位置づけとして理解されることが多いです。
まとめ
クローズドループステッピングモータは、エンコーダなどのフィードバック機構を用いて実際の回転位置を監視し、必要に応じて補正を行うことで、脱調の低減と安定した制御を実現する方式です。これに対し、オープンループ方式は構成が簡単で低コストという利点がある一方、実際の動作を確認しないため、負荷変動時の位置ずれに弱いという特徴があります。したがって、両者の違いは単なる新旧ではなく、必要な性能、信頼性、コスト、用途に応じて選ぶべき制御方式の違いといえます。装置の要求条件を正しく把握し、最適なモータ方式を選定することが重要です。
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