ステッピングモーターは、入力されたパルス信号に応じて「カクカク」と一定角度ずつ回転するモーターです。
一般的なモーターのように連続的に回るのではなく、ステップ(刻み)ごとに決まった角度だけ回転するのが最大の特徴です。
1パルス → 1ステップ(例:1.8°だけ回転)
パルス数を数えることで、「今どの位置にいるか」を把握しやすい
この特性から、ステッピングモーターは位置決め制御や速度制御がしやすいモーターとして、プリンタ・FA機器・3Dプリンタ・半導体製造装置などで広く利用されています。
1.ステッピングモーターの基本的な特徴
オープンループ制御ができる
エンコーダがなくても、理論上は「何パルス送ったら何度回転したか」が分かるため、構成がシンプルになります。
低速で高トルクを出しやすい
低速域の保持トルクが大きく、静止状態でも通電しておくことで位置をしっかり保持できます。
停止位置の安定性が高い
決められたステップ位置に「カチッ」と止まるイメージで、細かな位置決めに適しています。
速度制御も比較的簡単
パルス周波数(パルスを送る速さ)を変えることで、回転速度も容易に変えられます。
2.ステッピングモーターの主な種類
ステッピングモーターは、構造や駆動方式の違いによっていくつかの種類に分けられます。
ここでは代表的な分類として、
構造による分類
巻線・駆動方式による分類
の2つに分けてご紹介します。
2-1.構造による主な種類
(1)VR型ステッピングモーター(Variable Reluctance:可変リラクタンス型)
VR型ステッピングモーターは、ローター(回転子)が軟鉄でできており、凸形の歯を持つ構造のモーターです。ローター自体には永久磁石が入っていません。
ステータ(固定子)側のコイルに通電 → 磁界が発生
磁気的に最も「抵抗の小さい位置(リラクタンスが小さい位置)」へローターが吸い寄せられて回転する
特徴
構造が比較的シンプル
比較的細かいステップ角が得られる
ただし、トルクは永久磁石を用いるタイプ(後述)より小さめ
現在は、より高トルクなハイブリッド型に置き換えられることが多く、使用例はやや少なくなっています。
(2)PM型ステッピングモーター(Permanent Magnet:永久磁石型)
PM型ステッピングモーターは、ローターに永久磁石を用いたタイプです。
ローターがN極・S極をもつ円筒状の磁石になっており、ステータ側のコイルを励磁することで、磁石の極と引き合うようにステップ回転します。
特徴
構造が簡単でコストも抑えやすい
低速で比較的高いトルクが得られる
ステップ角は一般的に大きめ(例:7.5°、15°など)
家電や簡易な位置決め、インジケータなど、あまり細かい分解能を必要としない用途で使われることが多いタイプです。
(3)ハイブリッド型ステッピングモーター(Hybrid型)
ハイブリッド型ステッピングモーターは、VR型とPM型の特徴を組み合わせた構造を持つ、現在最も一般的なステッピングモーターです。
ローターには永久磁石+歯付きの鉄心
ステータ側にも細かい歯を持ち、多極構造になっている
特徴
高トルク・高分解能(一般的なステップ角は 1.8°/0.9° など)
低速から中速まで安定した駆動がしやすい
産業機器・3Dプリンタ・精密装置など、多くの分野で標準的に採用
「ステッピングモーター」と言えば、多くの場合このハイブリッド型ステッピングモーターを指すことが多いです。
2-2.巻線・駆動方式による種類
ステッピングモーターは、内部の巻線構成とドライバ側の駆動方式の違いでも分類されます。
(1)ユニポーラ型ステッピングモーター
ユニポーラ型は、1相あたり中央タップ付きの巻線を持ち、6線または5線で構成されるタイプです。
特徴
巻線の一部だけを順番に励磁して駆動するため、ドライバ回路が比較的簡単
トルクはバイポーラ型と比べるとやや小さい傾向
古い機器や簡易制御で採用されることが多かった
近年では、よりトルク効率の良いバイポーラ型ステッピングモーターが主流になりつつあります。
(2)バイポーラ型ステッピングモーター
バイポーラ型は、1相あたり巻線が1つ(両端リード)で、4本リード線を持つタイプです。
ドライバ側で電流の向きを切り替え(Hブリッジ駆動)、プラス・マイナス両方向に電流を流して駆動します。
特徴
同サイズのユニポーラ型より高トルクを得やすい
駆動回路はユニポーラ型より複雑だが、IC・ドライバモジュールの普及で扱いやすくなっている
マイクロステップ駆動との相性が良く、滑らかな回転・高分解能を得やすい
現在の多くのFA機器や3Dプリンタ、小型ロボットに採用されているのは、このバイポーラ型ステッピングモーターです。
2-3.特殊な形式:リニアステッピングモーター など
回転ではなく「直線運動」を直接得るために設計されたリニアステッピングモーターもあります。
ステータがレール状、ローターがスライダ状になっており、ステップごとに直線方向へ移動
リニアガイドと組み合わせた直線位置決めステージなどに利用
ほかにも、中空シャフト構造のステッピングモーターや、ギヤ付きステッピングモーターなど、用途に応じたバリエーションが存在します。
3.ステッピングモーターの種類選定の簡単な目安
用途に応じて、どの種類のステッピングモーターを選ぶかのざっくりとした目安は次の通りです。
簡易な動作・大きなステップで十分
→ PM型・ユニポーラ型
一般的な位置決め・FA機器・3Dプリンタなど
→ ハイブリッド型 × バイポーラ駆動(1.8°タイプが定番)
より高分解能・静音・滑らかな動作が必要
→ ハイブリッド型(0.9°タイプ)+マイクロステップ駆動
直線運動をそのまま取り出したい
→ リニアステッピングモーター
まとめ
ステッピングモーターとは、
「パルス信号に応じて一定角度ずつ回転し、位置決めや速度制御がしやすいモーター」です。
主な種類としては、
構造による分類
VR型ステッピングモーター
PM型ステッピングモーター
ハイブリッド型ステッピングモーター(現代の主流)
駆動・巻線による分類
ユニポーラ型ステッピングモーター
バイポーラ型ステッピングモーター
などがあり、用途や必要なトルク・分解能・制御方法に応じて使い分けられています。
ステッピングモーターをうまく選定・活用することで、シンプルな構成で高精度なモーション制御を実現することができます。
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